Lentment
全曲解説

ハナカタマサキ
Lentment
  1. 1.AFRICA

    アルバムで一番最後にできた曲です。 サビの歌のメロはこの他にプロトタイプが10種類くらいあってその中から選んだものです。 聴きやすくてメロディーもすごくポップだし、入り口には丁度いいと思って1曲目にしました。 キリンの曲を作りたくなったのはアルバムジャケットが先に出来たせいかもしれません。 長い時間をかけて苦労した曲なので出来上がった時はとても嬉しかったです。やっと仕上がったという感じでした。 パーカッション楽器は色んな音を録って混ぜました。中々良い音が録れたと思っています。 間奏の民族っぽい掛け声はオリジナル語です。

  2. 2.WHEELBARROW

    小さな国のテーマを作りたいと思ったのがきっかけです。メロディはずっと頭の中にあったので、まずそれを録音して、そこから色んな楽器で肉付けをして仕上げていくという手法でした。 アジアンな雰囲気は、始め意図していなかったのですが、録音途中に軌道修正しました。

  3. 3.PANAMA

    このアルバムの中で一番最初に出来た曲。PANAMAという曲名は、コーヒー屋さんでPANAMAで豆を摘んでいるおじさんのポスターが貼ってあって、"PANAMA"という語感も響きも良いなあと思って、ちょうどその時につくっていたこの曲の名前にしました。長い時間をかけて少しずつ作りました。 録音も時間をかけて少しづつ進めていきました。大きなイメージは持っていましたが、どんな形になるのか自分でもよくわからないまま楽器を重ねていったので完成の想像がつきませんでした。自分がまだ行った事のない場所へ向かうような、未知の扉を開けるような感覚でもありました。大袈裟になってしまいますが、振り返ってみると音楽家としてのターニングポイントだったかのようにも思えます。ライブでは毎回演奏しています。

  4. 4.DARUMASAN GA KORONDA

    フォーキーな弾き語りをやりたくて先にコードを作ってなんとなく歌を乗せて、なんとなくゴロを合わせて"だるまさんが転んだ"と歌ってできた曲です。曲ができるきっかけというものは未だによくわかりません。曲自体は歌詞も含めて1日でできました。アレンジ・楽器も含めとてもシンプルな曲。歌詞に誘発された楽器のアレンジが中々上手くいきました。録音をしている時は、お寺で子どもが遊んでいる画を思い浮かべていました。

  5. 5.CAT CALL

    タイトルは後から付けました。イメージはTOMandJERRYです。 早いディキシーランド・ジャズのようなものをやりたくてギターでつくりました。最近僕の事を知ってくれた方は、今の音楽からは想像がつかないと思いますが、昔ハードロックギターに没頭していた時期がありました。いわゆる「速弾き」が大好きでした。(今でも好きです。)特にPAUL GILBERTのギターにどっぷり浸かっていました。この曲のテーマのフレーズのルーツはまさにそこから来たものです。後半のピアニカのメロディは20歳の頃に作ったフレーズです。15年経ってようやく日の目を見ました。

  6. 6.ATTIC

    家に出たネズミの事を曲にしました。 このアルバムの中で一番ストレートな曲かもしれません。 この曲が出来た時はこの曲のネズミ物語をブックレットの絵本にしようと思いましたが、諸々あって断念。 ギターソロでのガットギターによるスパニッシュなフレーズは、この頃よく聴いていたパコ・デ・ルシアの影響です。

  7. 7.MADO

    この曲はインストとして作リ始めましたが途中で歌ものに軌道修正しました。 イメージはDARUMASAN GA KORONDAと同じで"お寺で子供が遊んでいる"というものです。 楽器はバンジョーがメインでピアニカと自作の木琴というシンプルな編成。 雅楽で使われている"笙"(しょう)という楽器の雰囲気をピアニカで再現しました。DARUMASAN GA KORONDAもそうですが、こういった日本テイストの歌ものが好きなようです。 曲は至ってシンプル。

  8. 8.MOLE

    この曲を制作していた頃"MATCHING MOLE"のアルバムを聴いていて、そのジャケットのアートワークのモグラがとても可愛いらしいのです。モグラの曲を作ろうと思ったのはその影響です。 ライブで弾き語りできる曲が少なかったので、ライブの演奏用につくった曲。 録音しながらアレンジをしていったら弾き語りの雰囲気からどんどん離れていってしまいました。(今は弾き語りでは歌っていません。) 歌が入っていた部分を半分以上カットしたのでほとんどインストのような曲です。 本物のモグラはまだ見たことがありません。

  9. 9.OTHER PEOPLE

    トイピアノと鉄琴による小曲。曲というより音遊びの感覚で録音しました。壊れかけの音楽。 次の組曲への導入です。

  10. 10.FOG

    これは依頼されて幾つか作った曲の中でボツになってしまった一曲です。 坂本龍一さんから"展開がカオス"というお言葉を頂戴しました。恐縮です。 当初はメインのテーマだけの1分程の小曲でしたが、色んな展開を持たせて組曲のようにしたいと思ってどんどん膨らませていきました。 持っている楽器を全部使って録音したのでトラック数も限界まで使用しました。無国籍のチェンバーミュージックです。まさにカオスだと思います。 組曲を制作したのはこれが初めてです。作った時は表記を"FOG-suite-"にしようと考えていましたが、なんだかおこがましいのでシンプルにFOGにしました。初の試みだったので楽しかったです。時間はかかりましたが夢中で録音していたのであっという間でした。もっとしっかり勉強してまた作りたい。

  11. 11.HOOTER

    HOOTERは汽笛という意味らしいです。この曲もとても気に入ってる1曲で、大所帯の楽団が演奏するイメージでつくりました。"どこにどんな音を入れようか"と、各楽器のパートもイメージしながら作ったのはこの曲が初めてです。かなり悩んで作ったアコースティックギターのアレンジが気に入っています。注意深く良いてもらえると嬉しいです。

  12. 12.TUMTUM

    なかなか曲ができない時期がありました。その後暫く経って生まれた曲です。無理にひねり出した曲は、ほぼ間違いなくボツになってしまいます。なので最近はスランプの時期になると完全に諦めます。力まずにギターを触っていると、そのうち出来てくるから不思議です。サビの"ライライ~タムタム"の部分の歌詞はデモでなんとなく歌っていたものをそのまま歌詞にしてしまいました。そしてそのままタイトルにもなってしまいました。

  13. 13.FREE

    譜割りが複雑で歌を乗せる時に苦労しました。どんなにややこしくても"根底はポップ"というのがコンセプトにあります。メインのギターとピアニカのリフから作りました。作り始めた時はもっとほのぼのしたイメージでしたが、仕上がってみたらこんなにアグレッシヴな曲(このアルバムにしては)になりました。PANAMAの次に出来た曲で録音したのはもう2年半も前のことです。ライブでもよく演奏しています。

  14. 14.PARAPARA

    このアルバムの曲はどれも短い曲が多かったので長い大作を作ろうと思って制作しました。この曲も完成までたっぷり時間をかけたので、仕上がりは満足しています。去年の冬に井の頭公演の露店で買った"でんでん太鼓"を使いました。この曲も日本的な雰囲気が漂っています。三味線や殆ど壊れかけているシタールも使いました。音程が正しいのか怪しいですが、微妙な音のズレも心地よく感じてしまったのでそのまま残しました。このアルバムを録音しながら、楽器によりますが、微妙な音のズレがとても面白く、心地よく感じてしまうようになってしまいました。 聴いて心地よければOKです。

  15. 15.OWL

    ふくろうの曲。この曲もかなり前に作ったもの。リフから出来てそこに歌を乗せていきました。ポップでプログレで奇抜な展開がとても気に入っています。サウンドも歌詞もこのアルバムの形をよく表していると思います。この曲はパーカッションの音が中々決zまりませんでした。一番悩んだサビ部分のポコポコという音ですが、これはコーヒー豆の入れ物の蓋を叩いている音です。このアウトロの楽器でガチャガチャ騒いでいる部分は後期ビートルズような雰囲気を狙ったもので、メロディオンのインプロは何気なく録音していたテイクが良かったので採用しました。アルバムの締めくくりにもピッタリだと思っています。

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